臨済宗相国寺派

研修会

平成21年度「幕末動乱の京都と相国寺」

講義内容

 幕末維新の日本は、激動の時代として、広く一般にいたるまで認識がなされている。このような認識は、戦後の明治維新という社会変革の理解をめぐって、闘いあわされてきた歴史学の成果や、司馬遼太郎に代表されるような「国民的」小説家によって描かれた物語によって形成されたものであるといえる。平成22年1月より放映されるNHK大河ドラマ『龍馬伝』についてもおおよそ、激動の時代を勧善懲悪的な枠組みで理解し、快活な「ものがたり」として我々に提供されることであろう。  ただ、実際の「幕末」という時代は、活劇のみで描けるものではない。動乱の政治には、彼らが属する組織(大名家、幕府、朝廷)や制度が多大に影響し、所在する場所によっても大きく異なる。幕末の世の中は、その背景にある制度的な側面をクリアにしないと理解しえないのである。幕末の歴史は、これを理解することなく、提供されつづけているといって過言ではない。そのような点からいえば、「相国寺文書」に存在する「薩摩藩屋敷関係資料」(仮)は、傑出した人才によってのみ動かされるとして説かれてきた幕末維新に対する考え方を変える重要な素材となりうるものである。同史料を活用しつつ、京の幕末維新史の再考察を試みたい。

講師プロフィール

笹部 昌利

略歴

1971年 京都市に生まれる
1995年 京都産業大学経済学部卒業
2000年 佛教大学大学院文学研究科単位取得満期退学
文学修士(佛教大学)
現在、佛教大学文学部・京都産業大学文化学部ほか非常勤講師

主要論文

「攘夷と自己正当化」(『歴史評論』589号、1999年)
「薩摩藩島津家と近衛家の相互的「私」の関わり」 (『日本歴史』657号、2003年)
「人斬りと幕末政治」(『鷹陵史学』31号、2005年)
「近世の政治秩序と幕末政治」(『ヒストリア』208号、2008年) ほか。

日程 / 詳細

第13回 「京から見た幕末の世」
平成21年 11月11日(水)

第14回 「薩摩藩島津家と相国寺-京の寺院と大名屋敷-」
平成21年 11月18日(水)

第15回 「京の『志士』であるということ」
平成21年12月2日(水)

時間 

講義 13:00 - 14:30
質疑 14:40 - 15:10
※尚、都合により日程、演題をやむを得ず変更する場合がありますのでご了承下さい。

対象 

僧侶および一般
参加費 無料
場所 大本山相国寺2F会議室
又は、承天閣美術館2階講堂

研修会は終了いたしました。
講義録を出版しました。
↓(2003.2.20 発刊)

「幕末動乱の京都と相国寺」