茶の湯の道具たち2
②砧青磁
砧青磁とは中国宋時代に、浙江省龍泉窯で焼成れた粉青色の青磁を呼ぶ。我国には足利将軍家による南北朝時代の天龍寺船貿易、室町時代の勘合貿易により秀作が多く舶載され足利家の蔵入りとなった。語源は、ある鯱耳花入の割れを見た利休が「響きがある」と感嘆したとの説。また相国寺塔頭慈照寺(銀閣寺)に所蔵されていた足利義政の花入が、絹を打つ砧の形に似ていたので付けられた、との説がある。
文 鈴木 景雲
図1
図1砧青磁茶碗 銘雨龍
この茶碗は朝顔型に大きく開いた形状で、青磁釉が何重にも掛かっている。外側の釉溜を「雨雲」に、貫入を止める「鎹」を龍にみたてて、付けられた銘であろう。鹿苑寺(金閣寺)二世住持鳳林承章が石州流の祖、大和(奈良県)小泉藩主片桐貞昌の茶会に招かれたおり、土産に贈られ鹿苑寺に伝来した。
この事跡は鳳林の日記『隔蓂記』に収録されており、寛文七年(一六六七)二月二十九日、鳳林は大和小泉の慈光院を訪れ、茶の湯や奈良見物を楽しんだ、とある。